店舗・商業施設

東京都かんだやぶそば

都会のビルの谷間で、
温故知新の味わいを深める灯り。

東京神田淡路町、都会のビルの谷間に建つ風情のある和風建築。それが明治より100年以上この地に根付き、地元の粋人からサラリーマンまでが足繁く通う生そばの老舗「かんだ やぶそば」です。この建物は、2014年2月に不慮の火災で焼失した店舗を再建したものです。まさに温故知新の風合いを醸す空間を壊さぬように、脇役に徹した照明手法にこだわっています。

発注者 :有限会社 薮蕎麦
設計施工 :株式会社 水澤工務店

江戸の伝統技法「名栗壁」。その陰影が「粋な通」をお迎えします。

生け垣を通り、建物の壁づたいに敷かれた御影石のタタキの先に「かんだ やぶそば」の入口があります。そのタタキに沿った独特の凹凸感を残す壁は「名栗壁(なぐりかべ)」と呼ばれ、元来、柱や梁の荒削りに使われた釿(ちょうな)の削り痕を残した日本古来の伝統技法で仕上げられています。その豊かな風合いを際立たせる光の陰影は、タタキにあてたダウンライトの反射光によって生み出されています。その効果を高めるために、スカラップを一切出さずに壁全面にやわらかく照らすよう、ダウンライトは天井中央からオフセットした位置に設置され、最適な角度に調整されています。

かんだやぶそばのCG写真かんだやぶそばの写真

御影石に反射した光が「名栗壁」の表情を引き立てます。

ダウンライトの写真
ダウンライトを通路の中央からオフセットした位置に設置し、スカラップを全く出さない照射アングルでタタキにバウンズさせて「名栗壁」を照らします。
店内の写真

店内

店内の照明器具は焼け残った照明を再生したもの。新しいダウンライトは脇役に徹し、老舗ならではの温故知新の風合いを醸しています。